登記・相続・債務整理・過払金・自己破産・民事再生・裁判

　百年に一度と言われる経済危機により、残業手当やボーナスが減少して住宅ローンの支払いが困難になる方が急増しています。また、長引く景気の低迷から、生活費の不足を補うための借入が多額になってしまい、その支払いのために住宅ローンの返済が苦しくなっている方も多くなっています。
　報道では、昨年、住宅ローンが支払えずに競売にかけられた住宅は、統計を取り始めてから最高の件数となっているとのことです。さらに、景気が急激に悪化したのが、昨年秋からの事であることを考えると、今年の夏のボーナス加算の支払いが困難となり、悩まれる方が大勢いらっしゃることが想像できます。

まずは、金融機関と相談を

　収入が減少してしまい、住宅ローンの支払いが苦しくなったら、まずは、借入をしている金融機関に相談して下さい。最近の経済危機に対応した様々な救済措置が取られています。
　例えば、�@返済期間を延長して毎月の支払額を少なくする。�Aしばらくの間返済額を減らす。�Bボーナス返済の見直しをする。など、状況に応じて様々な対応が可能となっています。しかし、すべての人が条件変更をさせてもらえるわけではありません。消費者金融や信販会社からの借入が多くなってしまい、金融機関の審査に通らない人や、支払いの延滞が長くなって審査を通らないこともあります。

以前は、破産して出直すしかなかった

　個人民事再生の手続きができるまでは、住宅ローンが払えなくなった場合、自己破産の申し立てをして住宅を手放し、負債を整理するしか方法がありませんでした。しかし、住宅は家族のよりどころであり、それまで支払った金額も無意味になり、多方面にわたる社会経済的な損失も見逃せません。
　そこで、平成１２年４月に新しく作られた企業の再建のための法律である「民事再生法」を、個人向けに修正して作られた個人民事再生手続きが、平成１３年４月から施行されて、住宅ローンを支払いながら債務の整理ができるようになりました。

個人民事再生のメリット

　個人民事再生手続きにはたくさんのメリットがありますが、主なものをお伝えします。
�@ 住宅ローン以外の借金の２０％か１００万円のどちらか多い額を、３年から５年の分割で支払えば、残りの借金は法律上支払わなくて良くなる。
�A 住宅ローンを払い続ける事ができれば、家を競売にかけられない。
�B 住宅ローンの支払い方法も、借りている側で返済方法の一方的な変更が可能。
�C ギャンブルや浪費を原因とする借金も整理できる。
�D 破産と違い、一部でも支払うので心理的に抵抗感が和らぐ。

個人民事再生を利用できる条件

�@ 定期的な収入があること。失業中の方も、仕事が見つかれば申し立てができます。
�A 住宅ローン以外の借金が５０００万円未満であること。
�B 多額な資産をもっていないこと。

個人民事再生利用の典型例

�@ A さんは、会社員（月収２５万円）で、妻もパートで働き（月収１０万円）、小学生の子供２人の４人家族。住宅ローンの支払い（月８万円）と生活費（１５万円）の他に、妻が２年前に半年ほど入院したときの入院費や、妻の収入が途絶えた期間の生活費を補うために借り入れた借金（３００万円）の支払い（月１０万円）で余裕のない生活を送っていた。景気の悪化で残業が減り、先月から給料が月５万円も少なくなってしまい、来月からどうしようかと悩んでいる。
（個人民事再生の利用）
住宅ローンはそのまま支払い、その他の借金３００万円のうち１００万円を３年の分割（月２万８０００円）にして、残額２００万円は支払い義務を免除してもらった。
�A B さんは、個人営業の自営業者で不景気にもかかわらず安定した収入（月５０万円）がある。借金は住宅ローン（月１０万円）だけだが、３年前に友人の同業者に頼まれて銀行の保証人になり、その友人が破産して銀行から１０００万円の肩代わり返済を請求されてしまった。
（個人民事再生の利用）
住宅ローンはそのまま支払い、１０００万円の２０％（２００万円）を３年の分割払い（月５万６０００円）で支払い、残額８００万円は支払い義務を免除してもらった。

法律は、お金のためでなく人間のためにあります。

　「借りたお金は返す」というのは当然のことです。法律は、貸した人が返してもらえない場合に、様々な回収の方法を用意しています。しかし、反対に収入や資産もなく、返そうと思っても返すことができない人のためにも、いろいろな制度を用意しています。
　法律は人間が幸福に生きるのに役立つように作られています。大切なのは人間であり、人生です。私たちは、法律の知識を元に様々な解決方法をお伝えします。しかし、最終的な方針は、あなたが決定して下さい。
　かけがえのないあなたの人生です。